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経営者に必要なのは、答えより対話かもしれない。

# 014

経営者に必要なのは、答えより対話かもしれない。

2026

THOUGHT

経営者になると、答えを求められることが増える。
でも、本当に難しい問題ほど、最初から答えなんて分からない。
だから僕は、経営者に必要なのは正解を教えてくれる人より、ちゃんと対話できる相手なのではないかと思っている。

経営者になると、答えを求められることが増える。

でも、本当に難しい問題ほど、最初から答えなんて分からない。

だから僕は、経営者に必要なのは正解を教えてくれる人より、

ちゃんと対話できる相手なのではないかと思っている。

——

経営者という仕事をしていると、

「どうしますか」

と聞かれることが多い。

採用をどうするか。
値段をどうするか。
この店を続けるのか。
新しい事業をやるのか。
この人を任せるのか。
この投資をするのか。

借りるのか。
買うのか。
売るのか。
撤退するのか。

最後には、

「シンさん、どうします?」
「オーナー、どうします?」

がやってくる。

当たり前だ。

決めるのが経営者やオーナーの仕事だから。

でも僕は、

経営者だから何でも答えを持っている、

なんてことは全然ないと思っている。

むしろ経営をすればするほど、

簡単には答えの出ない問題ばかりが残る。

売上が落ちた。

だったら広告を増やせばいい。

そんなに単純なら誰も困らない。

人が足りない。

だったら採用すればいい。

それで解決するなら簡単だ。

資金が足りない。

だったら借りればいい。

銀行が貸してくれるのか。
返せるのか。
そもそも、その事業を続けるべきなのか。

一つの問題を考え始めると、

その後ろから別の問題が出てくる。

経営って、だいたいそういうものだ。

僕自身、何かに悩んでいる時、

誰かに、

「答えを教えてほしい」

と思うことは、それほど多くない。

むしろ、

話したい。

自分が何を考えているのかを、一度口に出したい。

「こう思ってるんだけど、どう思う?」

と言いたい。

そして相手から、

「なんで?」

と聞かれたい。

この、

「なんで?」

が結構大事なのだ。

なぜ、その店を続けたいのか。
なぜ、その人に任せたいのか。
なぜ、その土地が欲しいのか。
なぜ、その価格にしたいのか。
なぜ、そこまで嫌なのか。
なぜ、それでもやりたいのか。

人に聞かれて初めて、

「あれ、なんでだろう」

となることがある。

逆に、話しているうちに、

「ああ、俺はやっぱりこれがやりたいんだ」

と自分で気づくこともある。

誰かに答えをもらったわけではない。

自分で喋って、
自分で気づいただけだ。

でも、経営ではこういうことが結構ある。

だから僕は、

対話というものをかなり大切にしている。

僕が経営者から相談を受ける時も同じだ。

すぐに答えを言わないことがある。

というより、

最初に聞いた話が、本当の問題ではないことが多い。

「売上を増やしたいんです」

という相談だったのに、

よく聞いてみたら利益は出ていて、

本当に困っていたのは幹部との関係だった。

「人が採れない」

という相談だったのに、

話を聞いていったら、

採用以前に辞めていく理由が社内にあった。

「新規事業をやりたい」

と言っていたのに、

実は今の事業から逃げたかっただけだった。

そんなこともある。

だから、

最初に出てきた質問に、すぐ答えてしまうのは少し怖い。

質問そのものが間違っているかもしれないからだ。

「どうやったら売上が上がりますか」

に答える前に、

「なぜ売上を上げたいんですか」

から始めた方がいいこともある。

僕はコンサルタントではない。

少なくとも、自分ではそう思っている。

立派なフレームワークを持っていって、

会社を分析して、

正しい答えを教える。

そういう仕事をしたいわけではない。

外から来た人間が、

その会社の経営者以上にその会社のことを分かっているなんて、

そう簡単にはないと思っている。

会社の歴史もある。
社員との関係もある。
取引先との関係もある。
家族のことだってある。

数字だけでは見えないものが山ほどある。

だから僕ができることがあるとしたら、

別の角度から見ること。

問いを投げること。

違和感を言葉にすること。

時には、

「それ、本当にやりたいんですか」

と聞く。

時には、

「それ、やめてもいいんじゃないですか」

と言う。

もちろん、

僕なりの意見は言う。

むしろ、かなり言う。

何でも、

「いいですね」

とは絶対に言わない。

違うと思ったら違うと言う。

危ないと思ったら止める。

面白いと思ったら、

「それ、やりましょうよ」

と言う。

僕自身も経営者であり、オーナーでもあるから、

評論家のように安全な場所から話すつもりもない。

ただし、

最後に決めるのは、その人だ。

これは絶対だと思っている。

会社もその人の会社だ。

お金もその人のお金だ。

人生もその人の人生だ。

参謀が経営者やオーナーの代わりに決めてはいけない。

経営者は孤独だ、

という言葉をよく聞く。

僕は、この言葉を少し違う意味で捉えている。

最後に決める責任を、誰にも渡せない。

この一点において、

経営者やオーナーはどうしても一人になる。

だったら、

決める前まで一人である必要はない。

誰かと話せばいい。

違う意見を聞けばいい。

自分の考えをぶつければいい。

迷っているなら、そのまま迷っていると言えばいい。

そして最後は、

自分で決める。

僕はそれでいいと思っている。

同意してもらうために話すのではない。

自分では見えなくなっているものを見るために話す。

だから僕は、

経営者に必要なのは、

何でも知っている先生ではなく、

ちゃんと話せる相手なのかもしれないと思っている。

答えを渡す人ではない。

一緒に問いを見つける人。

考えて、
話して、
気づいて、

最後は自分で決める。

僕が「経営参謀」という言葉を使っているのも、

たぶん、そういう意味だ。

前を歩いて、

「こっちへ来い」

と言う人ではない。

後ろから、

「頑張れ」

と言う人でもない。

隣にいて、一緒に地図を見る人。

時には、

「そっち、崖じゃないですか」

と言う。

時には、

「こっちにも道がありそうですよ」

と言う。

でも、

どの道を歩くかを決めるのは、

経営者やオーナーだ。

それくらいの距離が、

僕にはちょうどいい。

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